yiyin31405222’s diary

二万年後の銀河を考える。

ミーターの大冒険 エピローグ 第8話 「時期の問題か所在の問題か?」

ミーターの大冒険 エピローグ 第8話 「時期の問題か所在の問題か?」

あらすじ
 アルカディアが81歳で亡くなった。彼女の知人のジスカルド・ハニスはアルカディアに感銘を受けていた。そこでミーターとオリンサスとの面倒をみると同時に、ミーターから彼女の遺言の全てを聞く。ハニスは、ミーターとともに彼女の遺志を継ぐことを決意する。それは銀河復興を成し遂げることであり、危険で無謀にみえる挑戦でもあるのだが。
 
 ハニスの直感とミーターの柔軟性のある論理思考が冴え渡る。「心理歴史学」の権威のハリ・セルダンを唸らせた、地球探査の報告書を携え戻ったガールの真実発見とはなんだったのか?「微細心理歴史学」という真理なのか?ベイタ・ダレルが、ガールの見解を正確に踏襲していた、ということなのか?ミュールの必然性とは、ますます展開が際立って来たようだ。

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ハニス ミーター君、君がいたトランターでプリーム・パルヴァーの時代がようやく過ぎようとしているみたいだな。アルカディアさんがトランター滞在中何を考え、その頃、アルカディアさんの心に重くのしかかっていたことというのは何だったのだろうか?銀河復興の時期の問題か、故郷の星の所在の問題なのかな?

ミーター ハニスさん。なにを藪から棒に、僕に訊くのですか?そういうことについては、ハニスさんの専売特許ですよ。僕は、ずっとアルカディアと一緒にいた、ということで、彼女の側にいて情報を共有できたというだけですよ。もちろん知っていることはすべてお話しできますけど。

ハニス すまん。近頃の習慣でね。俺は、アルカディアさんのその頃の気持ちがどうであったか、集中して考えるようにしているもんで、君に訊いて、自分の納得を、再確認したかったんだよ。
まず「時期」の問題から、じっくり考えたのだがね。
 ドーニックがハリ・セルダンの「心理歴史学」に微妙な修正を与えて、晩年のハリがそれに狂喜して頷いた、という。その根拠は何だったのだろうか?

ミーター ハニスさん。なんという深い洞察力のあるご質問をされますね!そう、アルカディアもその点について、何度も繰り返し自問していました。
 今、その詳細をお答えします。
 ガール・ドーニックの「人類故郷星調査報告書」が、ボー・アルーリンを通して、ハリが亡くなる数週間前に届けられたということです。
そして、それを読んだハリは、深く納得して、後事を二つのファウンデーションに託せたのです。その故郷星の名前は「ガイア」あるいは、別の資料では、「アタカナ」。
 その報告書の中で、特に注目すべき点は、「人類歴史一般仮説」という時間カオス、ガール流に言えば「証古学」の法則、つまり人類は500年をもって固定された文明は交替するというのです。
 そしてその「所在」については、アルカディアは、言い伝えられた銀河の中心、トランターから、「極素輻射体」と同じ原理を使って、銀河中心部の「大ブラックホール」を一直線に飛び越えて、その「極素輻射体」の青色極細照射の直線部分の最終点を、「反対側の端」つまりターミナスと位置付けたのです。
 ここからが、謎解きですよ。ハニスさん。
 もっと正確に言うなら、この煙に巻くような「反対側の端」の意味は、「円には終わりがない」というもう一つの公理からの調整からは逸脱できないのです。
 そう、第二ファウンデーションは、トランターです。
 しかし、ターミナスの偏向によって今や第二ファウンデーションの拠点は破壊されて、別の星に移っているのではないでしょうか?どう思われます、ハニスさん。

 でもね、ここからが本番です。ハニスさん。そして、その逆に、今度はターミナスから始発点にして、その照射をしてみましょう!
 
yactha john s. 『ミーターの大冒険』エピローグ 8「時期の問題か?所在の問題か?」
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