ミーターの大冒険 オーロラへ 17 「秘密の鍵穴」
17 よく考えてみな、イルミナ、ピレンヌの像の下で、オリンサスさんが倒れていて、そこを通りすがりのコンパーさんが見つけて介抱した、という事実関係から考えると、その時にオリンサスさんは何かを発見したか、秘密を見いだしたんだよ。そのあとオリンサスさんがコンパーさんに託した作業は多分雑作もなくすぐにもピッタリ填まったんだと思う。きっと、ファー・スター2世号の起動部分のシステムの基本構造、そしてお前のグランドデザインの基本構造を見いだしたんだ。その二つには同じ定理が用いられていたと考えられる。それがなん何のか、が秘密の秘密なんだが、...。
ミーター、私にもわかってきた気がするわ。
「あなたはロボットですか?」のあれね!
お前、俺がロボットであるからして、わかってて相当皮肉で言ってるんだな!秘密の鍵穴にピッタリ合った鍵を差し込む、っていうあれだな!
まさにその通りよ。ミーターも褒めてあげなくちゃね。それでその「鍵」が「グレディアの日記」に記されていた、と言うのね!
う~、残念だが、ワトソン女史、お前は俺の助手として合格だ!
それでは、ここから本番だ。アルカディアが見いだした「グレディアの日記」を説明していこうか。その中に、チャンとあったんだ。アルカディアは、その部分だけが標準銀河語ではなくて、古典銀河語の「トランター聖語」で記されてあったので、理解するのに相当苦労したって、言ってた。
俺ってお前には親切過ぎるという弱点が大問題なんだよなぁ!
yatcha john s. 『ミーターの大冒険』 オーロラへ 17 「秘密の鍵穴」
さあもう一度航海の時代が来たんだ
さあもういちど航海の時代が来たんだ
もう定住の時代は終わりを告げる
懐かしいロマンの時代さ
さあもいちど勇気振り絞って
もう今までの自分じゃない自分みつける時さ
帆をいっぱい張って
捨てること怖がってじゃダメだね
もう今までの記憶かなぐり捨てて
本当の自分の先がdestination さ
yatcha john s. 「destination 」
小市民的生き方をするな
ヘッセの遺言
それこそ 一番あってはならない生き方です
世間の因習に染まっていては
狡猾で抜け目はない生き方はできますが
真の怠け者であり
毎日 不安に喘ぐ単なる生き物です
まず自分自身を率直に見つめて自分の個性のどこが最良で最強なのかを知ることです
そして向かってくる現実から逃避しないこと
世の中の基準で自分に点数をつけつけるような真似はよしなさい
あなたはあなたの生き方を完遂しなさい
別の人間 憧れのタイプ そういう人間になろうとすればするほど自分を否定して自分を苦しめているのです
ですから 貴方にふさわしいものがなんなのか
心のそこから望むものはなんなのか
心と体と頭をふるに使うことです
yatcha john s. 「ヘッセの遺言 小市民的になるな」
ミーターの大冒険 オーロラへ 16 「精神感応力」
16 ミーター、そのアルカディアが見いだした「グレディアの日記」の中に極素輻射体について何か書いてあるっていうのね。
察しがいいね、イルミナ、ユーゴ・アマリルが極素輻射体を考案して実際の形態とした経緯が記されてある。
グレディアが母ドースに詰めよって大叔母のウォンダの少女時代のことを聞き出したことがあった。ユーゴは、ある日泣いているウォンダを哀れんだことがあったが、その時の妙な感覚から後のターミナス方程式の原型となる構造システムを考案できた。ウォンダは同情してくれたユーゴのその時の心理を読んだと後になって、祖父のハリ・セルダンに打ち明けている。 それによってハリは、第二ファウンデーションの構想を思いついた、と書いてある。いわば読心術と他人の心理を操作する能力のグループの設立を思いついた。彼らの能力によって、第一ファウンデーションを陰ながら支えることができる、と悟った。セルダンは盟友ユーゴ亡きあと、ユーゴの遺産を再認識できたと言える。
まあ、驚きの出来事ね。
それで、ウォンダの能力と極素輻射体が、それからの出来事に繋がっていくっていうのね。その先が聞きたいわ。教えて教えて、ミーターさん。
イルミナ、そう急かさないでくれ。
yatcha john s. 『ミーターの大冒険』 オーロラへ 16 「 精神感応力 」
Music ∶ Twilight Hour at Sunset Beach
adagio
アダージョ(ユックリと落ち着いて)
実用性の文章または「教訓」を含む「モットー」
または「 証明」
という意味もある
突っ走るヴィバーチェの時代は過ぎ
元に戻し(ア・テンポ)
アダージョの世界に帰りつつある
年期を過ぎるということは本来
そういうことらしい
でも
我らが「強烈な人生」を本質的にアダージョに
転換するには
「優雅に危険を冒す」ことが必要らしい
授かった教訓を記しておきます
やりたいことを先延ばしにしない
新しいことに挑戦する
怠惰をやめる
練習を重んじる
優先事項のシンボルをつくる
夢に生命を吹き込む
ありったけのエネルギーを燃やす
〞見えないフェンス〟を疑う
イノベートする
〞過程〟を楽しむ
など
yatcha john s. 「 adagio 」
夏瓶
一万キロ以上の旅の末
遥か海の彼方から
ながい年月と荒波を超えて
友情と夢をのせて差し出す
ウオーターブルーの夏からの手紙
あなたへのあつい想い
見つけたら さわってごらん
拾い上げたら じっとながめてごらん
封を開けたら
涙が込み上げてくるのがわかるね
そして差出人がわかったら素晴らしいじゃない
そしたら手紙を書いてみたら
もうひとつやってみなさいな
今度はあなたの大きな思いをその瓶に入れて未来に託すこと
yatcha john s. 「夏瓶」